すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる
この言葉は、「エチ先生と『銀の匙』の子どもたち奇跡の教室」からです。
内容
少し長いので、中略が多いですが、ご了承ください。
昭和37年5月。(この頃の日本はテレビ、冷蔵庫、洗濯機という「3種の神器」が家庭に定着し、効率化最優先の経済成長期真っ只中)
文庫本のページは1ヶ月経ってもまだ2枚しかめくられていなかった。
その日のエチ先生の授業は『銀の匙』の中の「鼠算」の文字から横道に逸れていった。
〈中略〉
「今日もまた脱線やな」
そう思ったのは一人だけではなかった。
文庫本『銀の匙』が国語の教科書の役割を果たすとは聞いていた。
しかし、小学生時代の読み書き中心の国語や、受験のそれとも全く異質の授業が続くことに対して疑問を持つ生徒が少なくなかった。
〈中略〉
「先生!」
挙手しながらの一人の生徒の強い口調がエチ先生の作業を遮った。級長だった。
立ち上がった同級生の口から発せられた次の一言に、教室が静まり返った。
「先生、このペースだと200ページ、終わらないんじゃないですか?
〈中略〉
そして、一度教室中の生徒を見回した後、つぶやくように言った。
「スピードが大事なんじゃない」
エチ先生は続けた。
「例えば、急いで読み進めていったとして、君たちに何か残ると思いますか?
何にも残らない。私は授業のスピードを競っているんじゃありません。
君達に速読を教えようとも思っていない。
それよりも、みんなが少しでも引っかかったところ、
関心を持ったところから自分で横道に逸れていってほしいと思っています。
どんどん調べていって自分の世界を深めてほしい。
その時間をとって進めているつもりなんです。」
〈中略〉
エチ先生の言葉はなおも続く
「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなります。
そういうことは私は教えようとは思っていません。
なんでもいい。少しでも興味を持ったことから気持ちを起こしていって、どんどん掘り下げてほしい。私の授業では君たちがそのヒントを見つけてくれればいい……。
だからこのプリントには正解を書いてほしいとは思っていないんです。
自分がその時、本当に思ったことや言葉を残していけばいい。
そうやって見つけたことは、君たちの本当の財産になります。」
自分の中に残るもの
これがすごいなぁって思いました。
大体の先生は「これは試験に出るから」とか「テストに出るから押さえておけ」
って言うんです。僕の先生もそうです。
でも、それで社会に出てから何が残っているのか。
エチ先生も言うように何も残らないのではないでしょうか。
目標がテストなら、テストが終わった瞬間に得た知識たちは目標を失い、消える。
すぐに役立つけど、すぐ役立たなくなりますよね。
でも本当に興味を持ったこと、本当に思ったことは、
テスト、受験にも関係ないかもしれませんが、ずっと残り続けるんだと思います。
それではダメなんでしょうか?
さらに、それを深めることは最近の記事で書いているような
「一つのことに徹底する」という力へと繋がっていくのではないでしょうか。
そうすればいつまでも役にたつ最強の武器を手に入れたと言っても過言ではなくなるのかもしれません。
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